コインランドリーのコンセントで、パソコンを勝手に充電していた男性が逮捕されるという事件があった。スマートフォンの利用も増えて、カフェのコンセントなどで充電している人も見かけるが、そんな行為も犯罪に問われてしまうのだろうか。

雨をしのぐために忍び込んでいた

男性は12月3日、兵庫県内のコインランドリー店で、電気を盗んで、パソコンを充電していた疑いが持たれている。報道によると、前日から、雨をしのぐため、コインランドリー店に忍び込んで、寝袋で一夜を明かしていたということだ。

実は電気も「財物」とみなされる
ABCニュースによると、男性は「勝手に人様の電気を使っていたことは間違いありませんが、このようなことで逮捕されるのは納得いかない」とチンプンカンプンの話しているという。もし自分の家の電気を勝手に使われたら彼はどう思うのだろう。水道でもいい。これは立派な犯罪となる。

逮捕容疑は、いわゆる「電気窃盗」とみられる。
刑法では、他人の「財物」を盗んだら、窃盗罪が成立する(同235条)。そして、電気も「財物とみなす」とされている(同245条)。
したがって、少なくとも形式上は、電気を盗んだら、窃盗罪が成立するのだ。

過去にも摘発事例も…

過去にも、電気窃盗で摘発されたケースが報じられている。
和歌山県では、隣の空き家の外壁にあるコンセントに電気コードを差し込んで、自宅に引き込んだとして、男性が逮捕された。その後、不起訴となっている(読売新聞・2013年9月10日)。
神奈川県では、携帯電話の充電のため、駅構内のコンセントに充電器を差し込んだとして、女子大生が、送検されない「微罪処分」を受けた(朝日新聞・2008年9月11日)

他にこんな事例もある。当ブログでも取り上げた事件で、なんと6年間も電気をタダで使用!料金滞納で電気を止められた貧乏男だ。
気になる方は見て参考に。

ところでカフェのコンセントで充電していいの?

それでは、漫画喫茶やカフェのコンセントで充電してはダメなのだろうか。その道に詳しい弁護士が解説する。
「まず、電気を盗む行為は窃盗罪にあたります。ただし、カフェの机にあるようなコンセントは、客が充電するため、あるいは充電することを見越して設置されていると考えられます。このような場合、充電しても、窃盗罪にはなりません」
では、店の端っこにあるようなコンセントはどうなのだろうか。
「店側からすれば、客が利用するのではなく、業務のために用意しているコンセントでしょう。店側も、客の充電を想定していないでしょうから、勝手に充電した場合、窃盗罪に問われる可能性があります。いずれにしても、ルールにしたがって充電したいですね。個人的には、もっと充電スポットが増えてくれるとありがたいのですが…」